はなぶさコラムス
当院理事長 塩谷雅英が毎日の診療の中、見えてきたこと、皆様に是非お伝えしたいことなどをつづったコラムです。
今回は妊娠の成立における卵管の役割についてお話します。卵管は卵巣と子宮を結ぶパイプの役割を果たしていますが、単なるパイプではありません。卵管の先 には卵管采とよばれる刷毛のような構造があり、卵巣から排卵される卵子をキャッチする仕組みになっています。卵管采に続く部分は膨大部と呼ばれ、ここで精 子と卵子はお見合いをして、受精します。その後受精卵は卵管が提供してくれる栄養で育まれながら、卵管の筋肉の運動や繊毛の運動に助けられ子宮へと導かれ 着床します。このように卵管は、卵子のキャッチ、受精、受精卵の発育と移動という重要な役割を担っているのですが、とても繊細な構造であるため容易にダ メージを受けます。卵管采が傷みますと、卵子をキャッチ出来なくなりますし、また卵管が細くなったりつまったりすると受精卵は移動できなくなり不妊症と なってしまいます。最近、卵管が傷んでしまったための不妊症の患者様が増加しております。原因は様々ですが、クラミジアなどの性行為感染症もその原因の一 つと考えられていますので注意が必要です。
執筆:院長 塩谷 雅英