はなぶさコラムス
当院理事長 塩谷雅英が毎日の診療の中、見えてきたこと、皆様に是非お伝えしたいことなどをつづったコラムです。
今回は、妊娠するものの流産を繰りかえしてしまう不育症についてお話します。流 産を繰りかえすことは精神的にも、身体的にもとても負担が大きいものですから原因を調べて治療対策を講じる必要があります。原因は、ホルモンの異常、抗リ ン脂質抗体やその他の自己免疫異常、同種免疫異常、子宮の異常、染色体異常、感染症などです。当院のデータでは、2回以上流産を繰りかえす患者様の80% 以上に抗リン脂質抗体を認めています。抗リン脂質抗体があると血栓ができやすくなり流産を起こすと考えられています。この場合、アスピリンの内服やヘパリ ン注射などにより血栓を予防することで流産を防ぐことが可能となります。同種免疫異常による流産とは、受精卵を異物として母体が拒絶反応をおこし流産して しまうものです。通常の妊娠では妊娠がうまく継続するために「よい免疫反応」が成立し流産が起こらない仕組みになっています。「遮断抗体」を測定すること によって「よい免疫反応」を期待できるかどうか分かります。この同種免疫異常による流産には免疫療法が効果を期待できます。
執筆:院長 塩谷 雅英