はなぶさコラムス
当院理事長 塩谷雅英が毎日の診療の中、見えてきたこと、皆様に是非お伝えしたいことなどをつづったコラムです。
今回は、精子を子宮の奥深くまで注入する方法である人工授精についてお話します。人工授精は精子の状態が不良である場合や、性交障害・射精障害、あるいは 原因不明の不妊症に適応されます。"人工"という文字に違和感を感じる方もあるかと思いますが、妊娠成立そのものは自然妊娠と全く変わりありませんのでご 安心ください。精液をそのまま注入する方法と、遠心器にかけて丈夫な精子だけを選ぶ方法があります。前者では、注入後に精液中のプロスタグランディンの作 用で痛みを感じることがあったり、精液中のバクテリアによって感染することがあるため、最近はあまり行われなくなりました。後者では、精子の受精能持続時 間が短くなることがありますのでタイミングを排卵に正確に合わせる必要があります。人工授精のタイミングは排卵直前から排卵後数時間以内がベストです。排 卵は卵胞の大きさが18mm以上となり、下垂体から排卵命令(LHサージ)がでてからおよそ36時間後におこりますので、超音波検査やホルモン検査などに よって、正確にタイミングを合わせていくことが大切です。
執筆:院長 塩谷 雅英