はなぶさコラムス
当院理事長 塩谷雅英が毎日の診療の中、見えてきたこと、皆様に是非お伝えしたいことなどをつづったコラムです。
SEET(シート)法とは、受精卵を育てるのに用いた培養液に着目したもので、当院の多くの患者様の協力によって開発することができた移植の方法です。 受精卵からは母体に向けてさまざまな信号が発信されます。それらの因子を受け取った培養液を移植の3日前に子宮の中に注入し、着床の準備ができたところ で、融解した胚盤胞を移植します。今まで着床障害で妊娠できなかった人の突破口となることも多いです。体外受精で1個の受精卵を子宮に戻し、さらにもう1 個を胚盤胞まで育てて凍結してからSEET法で戻すことで、2つの受精卵でよりチャンスを広げることができます。二段階胚移植の近い考え方ですが、これは 移植する受精卵が基本的に1個なので、多胎の心配がほとんどないのもメリットです。
執筆:理事長 塩谷雅英