はなぶさコラムス
当院理事長 塩谷雅英が毎日の診療の中、見えてきたこと、皆様に是非お伝えしたいことなどをつづったコラムです。
不妊の原因の中で重要な位置をしめている卵管の異常ですが、その診断は容易ではありません。子宮卵管造影検査を行えば、卵管障害の終着駅といえる卵管閉塞や卵管水腫を診断することは難しくないのですが、その手前の、卵管狭窄を診断することは容易ではありません。実際、卵管狭窄を発見できず、原因不明不妊症という診断のもと人工授精を繰り返すも妊娠に至らない、というケースがあります。当院では、卵管閉塞の手前の狭窄の段階で異常を発見し、治療することに力をいれております。具体的には、子宮卵管造影検査の際に子宮内圧を同時に測定します。こうする事で、造影剤の注入圧から卵管狭窄を診断するようにしています。また、子宮鏡検査を重視しています。子宮の中にファイバーを挿入しますと、子宮筋腫やポリープの有無がわかりますが、さらに、子宮に中に開いた卵管の入り口を左右1対観察することができます。この様子から卵管の状態を判断するのです。子宮卵管造影検査で正常とされる方でもこの卵管の入り口が塞がってしまっているケースにしばしば遭遇します。